三成よりも力強い腕で抱きしめられ、護られていることが嬉しかったのか、捕まえられたことが悲しかったのか、わからぬまま幼子のように泣いた。
趙雲が覆い被さろうとしてきても、このまましがみつくものを失ってしまったら、私は一体どこまで堕ちるのだろうなんてぼんやり恐ろしくなってしまったものだから、そのまま加えられた力に甘んじて、崩れるように倒れ込んだ。






5






「趙…雲殿、傷に障ります」
「構わない」
形ばかりの気遣いを見せ、幸村はこれからどうなるのかを知っていて、大人しく趙雲の下に収まった。
一度目が合うと、二人の均衡は脆くも崩れ、その存在を受け入れられた趙雲は、今まで抑え込んでいた情念をぶつけるよう荒々しく唇をあてがった。
「あふ…ぅ」
最初は重なり合うだけの唇。
いつしか口の周りを覆うように舐められ、何度となく角度を変え食いつかれる。
次第に激しさを増していくその行為に、趙雲が今この時をどれほど切望していたか、幸村はその身を持って知った。
趙雲の秘められた熱情に戸惑いながらも、幸村は恐る恐る唇を開く。
ここぞとばかりに、趙雲はその合間にぬめった舌を滑り込ませた。
「んむぅ…ふ…ぁぁっ」
口内を這い回り、逃げる幸村の舌はあっと言う間に絡みとられる。
昨夜趙雲を拒んだことも忘れ、つまらない思考に蓋をすると幸村は趙雲の肩を掴んで大人しく身を委ねた。



今は身体を明け渡す換わりに心を閉ざしてしまいたかった。
寂しさだとか愛しさだとか皮肉だとか乱暴だとか三成から押しつけられたもの全てを閉ざしてしまい、趙雲から注がれる艶めかしいもので満たされたかった。
そんな幸村を許しているのか責めているのか、趙雲は息を吸う間も与えず執拗にその口を塞ぐ。
飲み込めぬ唾液が次々と露となり口から溢れでる。
絡み合う卑猥な音が辺りに響きわたり幸村の思考を緩やかに溶かしていった。
「ふぁ…っ…あっん…んんぅ……」
吐く息の中に時々甘いものが混じる。
その柔らかな肉の感触に、いつしか幸村も酔いしれていた。
拙いながらも必死に応える幸村の反応に、趙雲は心躍るような思いだった。
趙雲はもっと深く交わりたくて、口と口を交わせながら、その肉の厚い手を幸村の胸元へ忍ばせ、滑るように撫で上げる。
「ふっ…!」
その感覚だけでも十分心を騒つかせるのに、更に趙雲は幸村の脚と脚の間に強引に身体を割り込ませ、敏感な内股に脚を擦り付けた。
「んんっ!」
瞬く間に電流が身体中を駆け巡り、初めての幸村の身体は否応なしに飛び跳ねた。
身体が密着しているので、その動揺は当然趙雲にも伝わっている。
気恥ずかしさから必死で逃れようとするも、趙雲の執拗な口付けがそれを阻み、身じろぐ身体はいとも簡単に押さえつけられた。
幸村の最後の抵抗も、趙雲の身体に押し潰されていく。
このまま圧迫死するんじゃないかぐらいの趙雲の重みの下で、幸村は際どい愛撫と無我夢中の口付けを受けていた。

「はっ…はっ…はぁ…っ」
身体のあちこちを愛撫され、もう今度こそ本当に限界だ、という時に趙雲の顔がふっと離れた。
互いの顔に荒い息が吹きかかる。
吹き付けられる吐息さえも、身体中をぞくぞく震え上がらせた。
趙雲は幸村に休む間も与えず、その胸元でぷくりと立ち上がった突起を人差し指で、ぴんっと弾いた。
「…ひゃぁん…っ!」
解放されたばかりの幸村の口から、一際甲高い声が漏れる。
自分でも聞いたことがないいやらしい声が漏れ、気恥ずかしさともどかしさで意識が遠のきそうになる。
幸村がいくらいやいやと首を振っても、くすぶっていた劣情を煽るだけで、趙雲は何度も繰り返しその反応を楽しんでいた。
その度に幸村はびくびくと身体を震わせ、あんあんと声を上げる。
指先で摘んで転がし、時には舌を這わせ、口に含むと舌先でその小さな突起をつついた。
「ふぐ…ぅ…ぅっ」
不意に幸村の声が曇る。
何事かと見やると、幸村が空いた腕で口を塞いでいた。
歯を食いしばり、必死に声が漏れないようにしている。
「幸村殿…」
見かねた趙雲はそれを窘め腕を強引に引き離した。
幸村の手のひらが行方を求めてさまよっている。
趙雲は幸村の手のひらを丁寧に解くと、自分の手のひらをそれに深く絡み合わせた。
もう一方の手で、強ばる幸村の頭を撫でる。
さっきまでのそれとは違い、優しく労るような手つきだった。
「大丈夫だ…落ち着いて」
それは趙雲の優しさなのかエゴなのか、そこまでは考えが及ばない。
呼吸を落ち着かせて、抗議めいた瞳で趙雲を見上げてみても、趙雲はいつもの涼しげなまなざしに見えるか見えないかの熱を宿して微笑んでいる。
そのまなざしから、繋いだ手から、趙雲の真っ直ぐな気持ちが流れ込んでくる。
その気持ちが幸村に向かえば向かうほど、幸村の心は雁字搦めに締め付けられ、趙雲を直視できなくなっていった。



その瞳から溢れている、あなたを想っている。



噎せ返るような居たたまれなさから、幸村がぷいと顔を横に逸らすと、その濡れた目元を趙雲の尖った唇が吸い、涙の軌跡を辿った。
その跡を追うかのように、また一筋の涙が流れる。
趙雲はその滴をも、ちうと吸い取った。
「涙は…お嫌いですか?」
趙雲から身を捩りながら、幸村は消え入るような声でそっとこぼした。
その言葉の意味に惹かれ、趙雲は頭を撫でていた手をぴたと止めた。
「なぜ私の涙など拭うのです?
 私のことなどお気になさらずに、さっさと脚を持ち上げて、してしまえばよいではありませんか」
言い終えてから、少し言い過ぎたと幸村が趙雲を見やると、趙雲は困った顔をして微笑んでいた。

「………そこに愛はないだろう?」

趙雲は真っ直ぐ幸村を見つめている。
趙雲の瞳には一切の曇りもなかった。
幸村の頬に涙が伝った。
涙は再び堰を切ったようにその両の瞳からはぽたぽたとこぼれ落ちる。

苦しかった。

胸が苦しくて苦しくてしょうがなかった。

一人困惑した趙雲が幸村の目尻に唇を寄せる。
「私が…私が」
「?」
「…私が三成殿を想って涙しているとしてもですか…?」
変わらぬ微笑みの下で、趙雲が一瞬切なげな表情をしたのを、幸村は見逃さなかった。
しかし趙雲は瞬く間にその気配を覆い隠すと、その整った顔で一段と優しい笑みを浮かべ、指で幸村の顎をなぞる。
「いいよ、泣きなさい。
 その涙を拭えるのは、私だけだと思うから…」
「…趙雲…殿…」
「口付けをしよう。
 今度はちゃんと愛が伝わるように」
その時、幸村は初めて趙雲の腕の中は温かいと知った。

こんなのは違うかもしれない。

卑怯かもしれない。

それでも今はこの優しい腕に抱かれていたい。

幸村はその両の眼に涙を溜めたまま、こくりと頷くと、たどたどしくその腕を趙雲の背に回し、その身体にしがみついた。
幸村の指先が微かに震えている。
その仕草はまるで幼子が精一杯の表現で許しを請うようで、儚くも愛おしい。
趙雲は持てる限りの愛情で慈しみ護りたい感情と、それとは逆に強く抱きしめて粉々に砕いてしまいたい感情の狭間で揺れていた。
その感情がいつしか溶け合い混ざり合い一体となって身体から溢れていく。
そんな想いを乗せて、趙雲は幸村の口に唇を寄せ、そっと重ねた。
「んっ………」
ただ触れるだけの優しい口付け。
名残を惜しみ短く吸いつき宥めると、趙雲は幸村の膝裏に手をかけ、大切なものを仕舞うようにその身体を小さく折り畳んだ。
「あっ…」
両足を高く持ち上げられ、誰にも見せたことのない部分を晒される。
これから起こる未だかつて感じたことのない羞恥と痛みを覚悟して幸村は小さく鳴いた。
何かを捨て何かを得ることに怯える幸村に、「そんなもの捨ててしまいなさい」と半ば暗示のように耳元で囁くと、趙雲はその指を幸村のあらぬところに、ずいっと射し入れた。
「いぃっ…」
人を受け入れたことのない幸村の身体は、それをなかなか許さない。
趙雲は普段の穏やかさからは想像もつかない獰猛さで、慣れぬ内から何本も指を突き入れそこを強引にこじ開けた。
「痛っ…」
抉られた箇所がぎちぎちと音を立て、その痛みから幸村は苦痛に顔を歪ませる。
大丈夫か、とその身を気遣う裏で、出来うることならば、幸村の中で巣くっている残像ごと引っ掻いてやりたいものだと、趙雲は心の中で吐き捨てていた。





幸村の中にありったけの精を吐き出して、我ながら情けないことをしたものだと趙雲はため息を吐いた。
途中で意識を失った幸村から、己のものを引き抜く。
繋がっていた箇所から、血と混ざり合った精がどくどくと脈打って流れ出した。
今幸村を汚しているものは、自分の浅ましい欲望だ。
幸村が男に抱かれるのは初めてだと薄々気づいてたのに。
優しくしようと思えば、できたのに。
つまらない嫉妬に負けてしまった。
幸村とあの男の間には、私の知らぬ過去がある。
見えない絆がある。
弱った心につけ込むよう近づいて、それでも労るように抱くつもりが、結局は乱暴に組み引いてしまった。
自分にもこんな感情があるとは思わなかった。

綺麗ごとだけじゃいられない。

「ん…」
眠っている幸村が小さく身じろぎをする。
その頬に手を寄せ、そっと撫でると、懐いた猫のように擦りよってきた。
「ただの好青年じゃいられないな…」
趙雲は幸村のこめかみに音を立てて口付けた。

子龍ーーー!!!!!笑
こんな予定は最初ぜんぜんなかったんですけどね^^;
うちのサイトで初めて最後までやっちゃったのが趙幸で、しかも幸村の初めての人になっちゃうなんて・・・なんてマジカル!笑
三成どのが不憫です(笑
子龍の勢いが止まりませんでした。
いつまで続くんだ子龍のターン!笑
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